アニメ虹ヶ咲の感想文 7話 -近江彼方ちゃんの想い-

 「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」のアニメ第7話を視聴しました。今回は彼方ちゃん回でしたが、妹の遥ちゃんも内容に深く関わってきていたので、近江姉妹回とも言える話だったと思います。

 彼方ちゃんと遥ちゃんの姉妹の会話から今話は始まりました。遥ちゃんが次のライブでセンターを務めることになったという報告を自分のことのように、ともすれば自分のこと以上に喜んでいる彼方ちゃん。そして、二人の会話から場面が切り替わって寝室では遥ちゃんが寝る態勢に入っているにもかかわらず、彼方ちゃんはまだ机に向かって勉強をしている様子でした。さらに、翌朝も遥ちゃんが起きてくる頃には、彼方ちゃんはすでに朝食の準備を進めていました。この時に「今朝はずいぶん早いねぇ」と言っていることから、彼方ちゃんはかなり早い時間から起きていたことになります。そのため、彼方ちゃんの睡眠時間はかなり短く、普段の同好会でみせる「いつも寝ている彼方ちゃん」の姿は見られませんでした。
 後に遥ちゃんの口からも語られるのですが、彼方ちゃんは家族(特に妹の遥ちゃん)に負担をかけまいとして、バイトを掛け持ちしながら、空いた時間には奨学金をもらうために勉強に励み、日々の食事も作るなど、非常に多忙な生活を送っています。ただ眠そうなキャラ、というだけではなく、どうして眠ってしまうのかの背景がしっかりと描かれ、それが彼方ちゃんのアイデンティティにも繋がっているのは、彼方ちゃんの大きな魅力だと思います。この点はスクスタで語られていたころからとても好きな要素で、アニメで改変されなくて良かったと切に思いました。

 話の中盤では、彼方ちゃんが無理をしていると感じた遥ちゃんがスクールアイドルを辞めると言い放つ場面があります。この後、彼方ちゃんが同好会のメンバーにどうすればいいかを相談するのですが、ここで璃奈ちゃんが言った「似たもの姉妹」という言葉が、近江姉妹の関係性を最も端的に言い表していたと思いました。彼方ちゃんは「遥ちゃんが好きなことを好きなようにできる」ように様々なことをしています。しかし、その想いは遥ちゃんも同様で、「お姉ちゃんが好きなことを好きなようにできる」ことを望んでいるのだと思います。だからこそ、同好会で楽しそうにしている彼方ちゃんを見た遥ちゃんはうれしく感じたのでしょう。そして、そんな彼方ちゃんの姿を見て、自分がお姉ちゃんの枷にならないようにしたいという想いが強まったのだと思います。

 話は進み、東雲学院のライブ直前に侑ちゃんとせつ菜ちゃんが遥ちゃんを訪ねます。このライブを最後にスクールアイドルを辞めようと思っていたであろう遥ちゃんは、彼方ちゃんの姿が見えないことに不安がっていましたが、彼方ちゃんはステージ上に、寝室の机にあったスケッチの衣装を身に纏って立っていました。
 そこで披露された曲が「Butterfly」です。歌詞の中に「ハルカカナタ」とあったり、PVの随所に遥ちゃんの姿が差し込まれたりと、まさに近江姉妹の曲となっています。彼方ちゃんが傘を持っていたのは、それまでは雨が降っていて(姉妹同士のすれ違いがあって)蝶が飛び立てなかったけれど、今は雨が止んで再び空へ舞い上がることができる(サビ前で傘を放り投げる)、ことを表現していたのかなと思います。鳥のように羽ばたくのではなく、ふわふわと舞い上がる蝶は彼方ちゃんのイメージにぴったりで、一対の鮮やかな翅が、スクールアイドルの姉妹が手を取り合って共に高く上っていく姿のように感じられます。

 ライブ後、彼方ちゃんは遥ちゃんに「スクールアイドルではライバル」と言います。一方的に守り守られる関係ではなく、彼方ちゃんとライバルという対等な関係でお互いに精一杯競い合えることは、遥ちゃんにとって最良の関係なのではないでしょうか。この対等な関係は、日常生活において助け合う関係ということでもあり、これからは互いをさらに深く知ることができるようになるのだと思いました。

 彼方ちゃんは、常に妹の遥ちゃんのことを想って日々を過ごしています。遥ちゃんのことを最優先に、自分は二の次だった彼女が見せたわがまま(果林ちゃん曰く「自分に正直」、5話を踏まえるとこのセリフを果林ちゃんが言うことに深みがあります)が今回のライブには現れていたのだと思います。普段は出さないわがままを出せる場所、それがステージであり、彼方ちゃんのライブコンセプトなのでしょう(この辺りの話はスクスタのキズナエピソードにも描かれています)。

 次回はしずくちゃん回、演劇部との関わりが主題となってきそうな予感がします。スクスタの方では演劇部との兼部といった様子は見られなかったため、アニメではどのような展開をしていくのか、次の土曜日を楽しみに待っていたいと思います。

 

 

 

蛇足
 話が進んでいくにつれて、かすみちゃんの扱いに磨きがかかってきています。今回の鮮やかな放置と、コッペパンを褒められた時の表情など最高でした。かわいいですね。

さらなる蛇足
 東雲学院の面々がスクフェスで見知った面々ばかりで、非常に懐かしい気持ちになりました。