スーパースター12話の感想文

 ラブライブ!スーパースター‼︎の第12話を視聴しました。遂に最終回を迎えたスーパースター‼︎でしたが、新たな始まりの予感を感じさせる終わり方で、前向きな最終回だったように感じました。

 かのんちゃんが自分の歌と向き合えるようになったり、Liella!の活躍によって入学希望者が増えて学校の存続も叶ったりと一通りの課題を解決し、あとはラブライブ!に集中するのみという始まりでした。そういった背景があるからか、自由に歌えるという現状に満足しているこの時のかのんちゃんは勝つことにあまり執着していない様子です。
 しかし、クラスメイトや家族から自分たちの活動を応援してもらえていることを知って、かのんちゃんの心境に少しずつ変化が起こっていきます。1話の段階では肌身離さず持っていたヘッドホンでしたが、12話では「もう大丈夫!」とヘッドホンを着けることなく学校生活を送っています。ヘッドホンによって周囲の声を遮断して自分の世界に篭っていたかのんちゃんが、スクールアイドルと出会うことによってどんどん世界を広げていったことがこの場面から強く伝わってきました。
 また、その他かのんちゃんの成長が感じられる場面として、ランニング中に結ヶ丘に入ってよかったといったシーンが挙げられると思います。音楽科の受験に落ち、普通科となってから音楽科に対するコンプレックスを抱き続けていたかのんちゃんが、スクールアイドルとして活動を続けていく中で創立者である恋ちゃんのお母さんの想いに触れたり、校内の様々な人々の協力や応援を受けていったりするなかで、結ヶ丘女子高等学校という学校に愛着が湧いていったのでしょう。
 これらの描写から、かのんちゃんは「スクールアイドル活動」の意味を無意識に感じとっていたのだと思います。これまでの活動はかのんちゃんにとって自分の歌を歌う場という面が強く、自己表現を重要視していたように私は感じていました。もちろん、それは決してひとりよがりな考えによるものではなく、信頼できる仲間と共にのびのびと歌えるということがかのんちゃんにとって何よりも嬉しいことだったのは間違いないと思います。そんなかのんちゃんが、自分の世界を広げて多くの人々の力を借りて歩んできたことで、自分から相手に届けるだけでなく、届けられる側でもあることを感じ始めているのが、ここまでの11話の中で遂げたかのんちゃんの成長なのでしょう。

 成長を遂げたのはかのんちゃんだけではありません。たったひとりでスクールアイドルの勧誘を始めた可可ちゃんは心強い4人の仲間を作り、スポットライトの中心を渇望していたすみれちゃんは華やかな光の中央に立ち、ずっと幼馴染の力になりたかった千砂都ちゃんはその幼馴染と同じ目線で肩を並べて同じ舞台に立ち、誰にも自分の想いを打ち明けられず孤独だった恋ちゃんは大切な人の作った場所で大切な人々と笑いあうことができるようになりました。そんなLiella!の5人が、彼女たちを応援する多くの人々に背中を押されて上った、きらびやかなイルミネーションに彩られたステージで披露した曲が『Starlight Prologue』。とある曲のオマージュにも見える演出と、多くの想いを背負ってパフォーマンスをするLiella!は、まさに聖夜に輝く星のようでした。

 しかし、健闘するも2位で終わってしまったLiella!。すみれちゃんが最初に悔しさを爆発させたのも、「今回こそは、この5人なら」と思っていたからなのだと思いますし、他のメンバーが後ろを振り向いてクラスメイトと話している間もずっと俯いていたところからも想いの強さを感じました。
 ここで負けたことで初めてかのんちゃんは自分の中にあった想いに気づきます。人々の期待を背負い、自分一人で歌えているわけではないことに気づいたかのんちゃんは初めて涙を流しながら、関わってくれた全ての人々を笑顔にするために勝つことを誓いました。ここで「優勝したい」という言葉を「優勝しよう」と言い直したところに、11話で前を向けるようになったかのんちゃんの目線を上へと移した瞬間なのだと感じました。

 今回はアニメとしては最終回でしたが、『Starlight Prologue』という曲名が示す通りLiella!という五つの星々にとってはまだ輝き始めたばかりなのだと思います。この一年を通して楽しいことも苦しいことも経験したLiella!が、今後どのような輝きを放っていくのか、まだ小さな星である彼女たちの今後に大きな期待をしながら、応援を続けていきたいと思わせる素晴らしいアニメだったと思います。