虹ヶ咲キャストの推しポイント 後半

 後半です。

 ⑥近江彼方 役 鬼頭明里さん

 ふわっとした雰囲気を保ちながらライブをするというのは非常に難しいことだと思いますが、どのキャラの後にパフォーマンスをしても独特の世界観を展開できているのが素晴らしいと感じています。ゆったりとしたダンスも、ゆるやかな動きなだけにより一層タイミングを合わせることが大変なのではないでしょうか。最近では他のお仕事が増えてきて時間がない中であっても完成度の高いパフォーマンスをされているのは流石です。
 四人ユニットのQU4RTZでは低音パートを担当されており、前で引っ張るというよりも後ろで支えてくれるお姉ちゃんといったイメージの彼方ちゃんらしく、曲を下から支えてくれているように感じます。
 鬼頭さん自身が非常に落ち着いている印象なので、安心感があるというのも彼方ちゃんらしい要素の一つと言っていいと思っています。それを踏まえた上での「Butterfly」は、これまでよりもアップテンポな曲でありながら、落ち着いた大人(姉として)の彼方ちゃんが表現されているのが素晴らしかったです。

 ⑦優木せつ菜 役 楠木ともりさん

 他のメンバーと異なり、既に名の通っているスクールアイドルという設定の優木せつ菜ちゃん。そのせつ菜ちゃんを演じているのがメンバー最年少の楠木さんだということだけでも驚きですが、その歌唱力はせつ菜ちゃんの設定に恥じない力強さをもっています。特に、歌に自分の感情を込める力が優れているように感じ、「大好き」を世界中に広げていくせつ菜ちゃんにピッタリの力だと思います。
 また、ライブ中のMCで発する言葉のひとつひとつが楠木さんの想いであるのと同時にせつ菜ちゃんの想いでもあるものばかりで、キャラクターを演じる技量だけでなくキャラクターと深い部分で繋がり理解しようとしている姿勢が現れているように感じます。
 せつ菜ちゃんの曲はどれもライブ映えするものばかりですが、楠木さんはフェイクや間奏中の煽りも織り交ぜて、観客と一体となった、ライブならではの表現をされているときの表情が、楠木ともりとして、優木せつ菜としての最高の表情となっていますので、ぜひ一度ライブパフォーマンスを観てほしいですね。

 ⑧エマ・ヴェルデ 役 指出毱亜さん

 包容力のあるお姉さんといったキャラであるエマちゃんを演じる指出さんは、普段の生放送などではメンバーから年下として可愛がられている姿をよく見かけますが、アニメやライブでは温かみと落ち着きを兼ね備えた高音でエマちゃんを見事に演じています。ライブでの「声繋ごうよ」にて、子どものダンサーと一緒に登場した時にはその光景にしばらく面食らっていましたが、そのステージでは子どもたちと一緒ということもあってか普段以上にエマちゃんのお姉さんらしさがでていたように感じます。
 「哀温ノ詩」ではこれまでのエマちゃんの曲の雰囲気とは大きく異なる曲にも関わらず、先述した高音がこの曲では優雅な印象をもたせるものとなっており、大人びたエマちゃんの姿が表現されていました。この曲は作中でエマちゃんがスクールアイドルを志すきっかけとなった曲で、エマちゃんのために作られたこれまでの楽曲とは違います。それだけに、普段のエマちゃんと異なる雰囲気を醸しながらエマちゃんらしく表現するというのは大変なことだったと思いますが、これまで見えていなかったエマちゃんの側面を見せていただくことができました。

 ⑨天王寺璃奈 役 田中ちえ美さん

 表情を見せないという前代未聞のスクールアイドルである璃奈ちゃんを演じる田中さんは、表情による感情表現が苦手な璃奈ちゃんの分まで感情を全面に押し出したパフォーマンスをされています。生放送では前田さんと同じくムードメイカーとして場を盛り上げてくれる存在ですが、ステージに上がると璃奈ちゃんの声を乱すことなく、表情豊かなパフォーマンスを披露しています。
 あくまで個人的な感想ですが、虹ヶ咲だけでなくシリーズ全体を通して最も正確にキャラの声によるライブを行っている方だと思います。実際に現地で聴いた際も、本当にステージで璃奈ちゃんが歌っているような感覚を覚えました。それでいながら、後のインタビューでは途中で璃奈ちゃんの声が出なくなって非常に悔しかったと本人が語っており、それを見てライブを見返すとようやく少し違和感を覚える程度でした。その意味では、キャストの中で最も声優としてキャラと向き合っている方なのではないかと思います。

 ⑩三船栞子 役 小泉萌香さん

 シリーズ初の10人目のメンバーとなった栞子ちゃん。その栞子ちゃんを演じる小泉さんは以前、『ラブライブ!サンシャイン!!』のオーディションを受けていたそうです。惜しくもそのオーディションからは漏れてしまった小泉さんでしたが、シリーズ初の試みである10人目のメンバーという、大きな挑戦の象徴とも言える栞子ちゃん役として抜擢されました。生放送などで出てきている話を聞いている限りではかなり初期の段階から栞子ちゃんを演じることは決まっていたようで、品川で行われた「校内マッチングフェスティバル」というイベントで虹ヶ咲のメンバーが初めてソロを披露した姿も見ていたそうです。
 同好会と敵対しながらも随所で関わってきた栞子ちゃんは「あなた」の次に同好会の成長を見てきた人物と言ってもいいと思います。それは先述した小泉さんの状況とも重なるところで、躓いても挑戦を続けてきた結果こうして栞子ちゃん役を掴み取った小泉さんの姿は、迷いながらも前へと進んでいく栞子ちゃんの姿とも重なっていくのではないでしょうか。そんな二人だからこそ「決意の光」に込められた純粋でまっすぐな気持ちが届いてくるのだと思います。