スーパースター4話の感想文

 ラブライブ!スーパースター‼︎第4話を視聴しました。これまで出番が少なく、あまりキャラクターを掴めなかった平安名すみれちゃんにスポットが当たった回となっていました。

 冒頭からグソクムシの着ぐるみを着てテレビ出演していたり、通行人役としてのスカウトを受けたりと脇役としての起用ばかりだったすみれちゃんが、アマチュアであるスクールアイドルならセンターとして主役になれると思い、同好会としての活動を許可されたかのんちゃんと可可ちゃんの前に現れます。しかし、そこでもセンターの選挙に落ち、自分がアマチュアだと思っていた場でも主役になれないことに納得がいかず飛び出してしまいました。
 その後追いかけてきたかのんちゃんに自分はどれだけがんばっても脇役にしかなれないことを語ります。ずっと人通りの多い場所でスカウトを待っていたり、初見のステップや可可ちゃんが苦労していたダンスも軽くこなしてみたりと、すみれちゃん本人の能力が決して低いわけでなく、機会を掴もうと努力を欠かしていないにもかかわらず、主役になれないというのがさらにすみれちゃんの苦悩につながっているのではないかと思います。

 スクールアイドルをアマチュアと見ているすみれちゃんですが、3話でクーカーのステージから目を離せずにいたり、雨の中でテレビに映るふたりが目についたりと、ステージに立っているふたりから自分にはない特別な魅力を感じていたのではないかと思います。ショウビジネスの世界では燻っている自分も、スクールアイドルの世界なら今までにない輝きを掴めるのではないかと心のどこかで感じていたのではないでしょうか。
 そんなすみれちゃんに対して、かのんちゃんが改めてスクールアイドルにならないかとスカウトを行い、センターになりたいなら自分から奪ってみせてと言いました。もし、作品の中盤でかのんちゃんが言っていたようにすみれちゃんにセンターを譲るという形を取っていたら、プライドの高いすみれちゃんは情けをかけられたように感じてより強く拒絶していたように思うので、挑発するかのような勧誘方法が最善の勧誘だったのだと思います。契約金として見せたすみれちゃんの実家である神社のお守りも、自分の望む自分になれなかったかのんちゃんとすみれちゃんが似たもの同士であり、これから共に歩んでいく仲間の証であることを示しているように感じました。

 さて、4話でのすみれちゃんの様子は先述した通りですが、すみれちゃんというキャラクターを見ているとこれまでのシリーズに登場している矢澤にこちゃんや津島善子ちゃんと重なって見える部分が多々あります。普段の立ち振る舞いはにこちゃんっぽいですし、自分の望んだ姿に届かないことを自覚しながらそれを諦めきれないというのは善子ちゃんっぽい印象です。
 ではすみれちゃんがそのふたりの焼き直しとなっているかといえばそんなことは全くありません。私としては、すみれちゃん独自の特徴のひとつとして「同じ土俵で戦っている誰かが選ばれていくのを見続けてきた」ことが挙げられると思います。オーディションなど、自分より誰かの方が優れていると決められてしまうのを当事者として何度も経験し、自分の限界を感じてしまうというのは、他者の評価が明確に分かってしまうだけにつらいものだと思います。それでも諦めきれずに、自分にスポットライトが当たる日を待ち続ける(もちろんそのための努力は欠かさず)という姿からは、先述したふたりとはまた異なる心の強さをもっているキャラクターであると感じさせられます。

 この4話を経て、新しいメンバーとして平安名すみれちゃんが正式に加入し、残るふたりの加入がいつになるのか待ち遠しく思います。そのふたりはこれまでと異なり音楽科に所属しており、ダンスとバレエという自分が打ち込んでいることがある状態なのでどのような形で加入してくるのか。また、スクールアイドルだけを敵視しながらもラブライブ!(ここでは作中における大会名)を知っている様子の恋ちゃんや、新設校にも関わらず古さを感じさせる「学校アイドル部」の看板など、気になる点が多々生まれてきているので今後の展開がますます楽しみになりました。