スーパースター3話の感想文

 ラブライブ!スーパースター‼︎の第3話を視聴しました。前回からかなり期間が空いたこともあり期待の高まっていた今回でしたが、その期待を上回る話であったと思います。

 特に印象的だったのは可可ちゃんの家を後にする千砂都ちゃんと可可ちゃんの会話、そしてなんといってもライブでのやりとりです。
 

 フェスで1位を取ることが絶望的になったかのんちゃんと可可ちゃんに対し、2人の時間も大切だからと家を後にした千砂都ちゃんに対して可可ちゃんは再びスクールアイドルの勧誘をします。スクールアイドルに興味はあると返すもののダンスと掛け持ちでやるといった中途半端な姿勢で望みたくないと断る千砂都ちゃんでしたが、この時の表情が非常に切ないものでした。
 幼馴染ということもあり人前で歌えないというかのんちゃんの悩みをよくわかっている千砂都ちゃんだからこそ、人前で歌える可能性を見せてくれたスクールアイドルという存在に対してかのんちゃんが真剣に向き合っていることも感じていたのだと思います。そんなかのんちゃんと一緒に活動してみたいという気持ちはあっても、今のかのんちゃんと同じようにダンスと真剣に向きあってきた千砂都ちゃんにはスクールアイドルだけに真剣に取り組むということは難しいことなのでしょう。葛藤の中で揺れ動いている心情が細かく表情や声色に表れていた場面だと思います。

 次にライブでのやりとりについてです。かのんちゃんが歌えなかったら可可ちゃんは一人でも歌うという方法でステージへと臨む二人でしたが、案の定ステージに上がると歌えなくなってしまうかのんちゃん。不安と緊張から震えてしまいますが、背中合わせの可可ちゃんも「大丈夫、大丈夫……」と内から溢れ出てくるものを押さえ込むように自分に言い聞かせています。
 これまで見てきた可可ちゃんは常に気丈で明るく弱みを見せない女の子でしたが、可可ちゃんにとってもずっと憧れてきたはじめてのステージで緊張や不安がないわけがなかったのです。それでも自分が弱いところを見せてしまったらただでさえ不安を抱えているかのんちゃんに更なる不安を与えてしまうかもしれないとこれまでは必死に堪えてきたのでしょう。
 さらにすみれちゃんが起こしてしまったアクシデントによりステージ上の電気も消え、いよいよ立ち尽くすしかできなくなってしまった二人ですが、観客席からステージへと向けられる色鮮やかなペンライトの明かりを受けて、自分たちを応援してくれる人々の存在を感じとります。この時のかのんちゃんの「私はひとりじゃない」という独白と決意のこもった眼差しには心が沸き立ちました。
 人前で歌えなかったかのんちゃんが、応援してくれる人がいるから歌えるようになったのは正しくスクールアイドルという存在のもつ力なのだと思います。スクスタのストーリーでも応援してくれる存在の重要性を挙げていましたが、最近のシリーズ全体の動きとして「ステージに立っている人だけでなく、会場にいる人々全員でライブを作る」ということを前面に押し出しているように感じます。昨今はコロナウィルスによる影響で配信限定のライブも増えており、ファンとアイドルが同じ空間にいることがめっきり減ってしまいました。そんな状況にあるからこそ、改めてライブという最高の空間をその場にいる全員で作り上げることの重要性をますます痛感しています。

 応援の力を受けて前を向いた「クーカー」のふたりが歌った『Tiny Stars』。今はまだ輝き始めた小さな星々である彼女たちが、やがてスーパースター‼︎になっていく最初の一歩であり、「ひとりじゃない」ことを胸に刻んだ楽曲でした。フェスの結果としては一位を逃したものの新人特別賞を受賞し、彼女たちの輝きを結果として示すことは十分にできたのではないかと思います。今後のふたりがどのように活動していくのか、そして残りのメンバーがどのように関わっていくのか。次回はすみれちゃんにスポットの当たる回のような予告だったので、いまだアニメでは人物像が明らかにされていないすみれちゃんの動きに注目していきたいと思います。