スーパースター5話の感想文

 ラブライブ!スーパースター‼︎の第5話を視聴しました。次回予告の情報だと今回は夏の島で楽しく過ごす回かと思いきや「嵐千砂都ちゃんの立ち位置」という大きなテーマをもった回でした。

 まず、新たにすみれちゃんが加入したことによってメンバー間での会話がより明るくなったように感じました。かのんちゃんと可可ちゃんのふたりだとはっきりとしたボケやツッコミが少なかったのですが、すみれちゃんは言動がはっきりしており、可可ちゃんとのかけ合いもあって賑やかで活気のある印象を与えてくれています。
 そんな中で、かのんちゃんと可可ちゃんのふたりをずっと見守ってきた千砂都ちゃんの立ち位置というのが今回の大きなテーマとなっております。サニパが感じていたかのんちゃんと可可ちゃんのダンスの違和感には、千砂都ちゃん自身が同じスクールアイドルのメンバーとして活動しているわけではなく、あくまでコーチのような役割で関わっていたことが影響していました。ちなみにここでサニパが「ダンスに関してあなた(千砂都)のことを信頼している。」といった発言をしていますが、「信頼」という言葉選びが非常に素敵だと思います。
 そこで、一度お互いに別行動をとることを提案した千砂都ちゃんですが、これは3人に自分たちでがんばる力をつけてもらうためだけでなく、千砂都ちゃん自身が自分と真剣に向き合う必要があると感じたからこその提案だったのでしょう。

 島への道中や到着してからも作詞に苦戦しているかのんちゃん。その理由は、今の3人に千砂都ちゃんを加えた4人のことを歌詞にしようとした時、千砂都ちゃんが自分たちにとってどのような存在なのかを掴めていないからというものでした。
 ここで千砂都ちゃんがダンスをしている理由がかのんちゃんから明かされたわけですが、それを聞く限りだと千砂都ちゃんのなかでは「かのんちゃんと歩みを共にする」ことが今も昔も一番大切なことのように感じました。これまでスクールアイドルに勧誘されてもどこか複雑な表情をしていたり、前半にあったランニングの場面で「ここで待ってて」とかのんちゃんに言われた千砂都ちゃんが寂しそうな表情をしていたりしたのも、先へ進んでいくかのんちゃんの後ろ姿と幼い頃にかのんちゃんに向けて宣言した誓いの間で葛藤しているからなのではないでしょうか。千砂都ちゃんに対する勧誘は可可ちゃんだけが行っており、かのんちゃんが千砂都ちゃんをスクールアイドルに誘ったことはないので、もしかしたら千砂都ちゃんはかのんちゃんから「一緒にやろう」と声をかけてもらいたいのではないかとも思ってしまいます。

 そして最後の場面では千砂都ちゃんの鞄から退学届が顔をのぞかせていました。鏡に向かって決意の表情を見せながら髪を縛ったその髪飾りは、かのんちゃんの回想の中で千砂都ちゃんが握っていたものと似ており、これらが同じ物であれば千砂都ちゃんの大きな決心を感じさせる場面であると思います。
 私としては次のダンスの大会を一つの区切りとして、音楽科から普通科へと転科するための退学届なのではないかと思っているのですが、そうでなかった場合に今後大きな波乱がありそうなので期待半分不安半分といった心境です。各メディアやオープニング映像などでは全員が普通科の制服を着ているので、どこかのタイミングで音楽科から普通科になると考えていますがどうなるのでしょうか。続きが気になりますが来週は放送がお休みということでもやもやしたまま過ごす長い2週間となりそうです。

 

 

 

 余談になりますが、結ヶ丘という学校のシステム上音楽科が一種の特権階級のような扱いとなっていますが、現時点で音楽科の生徒が普通科の生徒を軽視しているような描写は一切見られておりません。スクールアイドルに対して厳しい態度をとっている恋ちゃんもスクールアイドル以外ならいくらでも応援すると言っており、音楽科の生徒の邪魔にならないようにとかのんちゃん達に言っていたのも一種の当てつけのように思います(協力している千砂都ちゃんには何も言っていないため)。
 もちろん音楽科と普通科では待遇の差はありますが、生徒間で差別が生まれるような描写がないのは流石NHKの番組だなと感じます。とはいえ、作中のかのんちゃんは音楽科という存在に対して大きな劣等感を抱いているように思えるので、この感情がどのように変化していくのかも澁谷かのんというキャラクターを追っていく上で外せない事項でしょう。また、音楽科と普通科の待遇差というどこか旧態然とした制度と合わせて、新設校に年季を感じさせる旧校舎が存在しているなど結ヶ丘という学校の設定にも個人的に興味が湧いてきております。