スーパースター6話の感想文

 ラブライブ!スーパースター‼︎の第6話を視聴いたしました。想像していた内容を遥かに超える重さで衝撃を受け続けていたのですが、嵐千砂都ちゃんというキャラクターを語る上では欠かせない素晴らしい回だったと思います。

 千砂都ちゃんの幼少時代が要所に挟まれていた今回でしたが、その大半は弱い千砂都ちゃんと強いかのんちゃんとのやりとりという構図で描かれていました。これまで何度もかのんちゃんが見せてきた自分の意見を貫く姿勢は幼少期から変わらないものだったのだと思うのと同時に、現在の姿とは正反対とも言えるほど気弱な様子を見せる千砂都ちゃんとかのんちゃんを除く周囲の言葉には心を締め付けられるような思いでした。

 また、千砂都ちゃんが頑としてスクールアイドルをしようとしなかった理由も明かされ、彼女自身の強い決意も現れていました。かのんちゃんの助けにならないのであればこの学校でダンスをする意味はない、と退学を考えているほどかのんちゃんとの関係を重く考えている千砂都ちゃんですが、微笑んでいるその表情にはどこか切なさを感じさせるものでした。幼少期に「できないことをできるようになる」と誓ったのは、かのんちゃんに対してだけでなく自分自身に対してのものでもあったのでしょう。そしてその誓いこそ彼女が回想の中で唯一見せた強気な場面でもありました。それだけにこの記憶は、お互いの心に強く焼きついています。しかし、この記憶へのふたりの思い出は異なっており、かのんちゃんは千砂都ちゃんの姿をかっこいいと感じ尊敬するようになったものであるのに対して、千砂都ちゃんはかのんちゃんに頼らず自分だけで何かできるようになるというある意味孤独な道を歩むことへの決意を固めたものだったと思います。

 そして、かのんちゃんがダンス大会の会場で千砂都ちゃんに再開した場面では、これまでずっとかのんちゃんを助けられる存在になりたいと思っていた千砂都ちゃんに、かのんちゃんはずっと助けられてきたと告げます。ここで初めて、千砂都ちゃんはかのんちゃんを追い続けていたのではなく、ずっと隣で同じ歩幅で歩んできたことに気づいたのだと思います。この時の千砂都ちゃんの表情はこれまでのどこか含みのある笑顔とは違い、屈託のない子どものような笑顔で、ダンスのステージへ向かう直前の「待っててね」「行ってらっしゃい」というやりとりも長年寄り添ってきた幼馴染同士、多くは語らずとも通じ合えているように思えてふたりの絆の強さを感じました。

 最後に4人でステージに上がり、これまでのモヤモヤした気持ちを吹き飛ばすかのような「常夏⭐︎サンシャイン」を披露。マリーゴールドのように温かく柔らかな光を纏ったまんまるの夕陽を背にパフォーマンスをする4人の姿はどこまでも輝いていました。幼い頃に、かのんちゃんは「目標に向かってめげずに進んでいく力」を千砂都ちゃんから、千砂都ちゃんは「自分自身を信じ抜く力」をかのんちゃんから貰い、それが今スクールアイドルという同じ舞台で花開いたことに感動せずにはいられません。

 さて、今回の話の主軸となっているのは間違いなくかのんちゃんと千砂都ちゃんとの関係なのですが、「何のためにスクールアイドルをしているのか」というのもひとつのテーマとなっていたのではないかと思います。サニパが言っていたようなスクールアイドルを通して地域の活性化に貢献するというのはAqoursがやっていることに近く、いわば「自分だけでなく誰かのためにもなるような」活動だと言えます。それに対してかのんちゃん・可可ちゃん・すみれちゃんの3人はまだ明確な活動指針をもっておらず、どちらかと言えば他者よりも自分に対して意識を向けているように感じます。
 そのような状況で、かのんちゃんの助けになるためにダンスをやり続けてきた千砂都ちゃんが加入したのは大きな意味があると思います。誰かのために何かをやり続けるという視点は今の3人にはないものだと思いますし、千砂都ちゃんにとってももっと自身に目を向ける機会が増えることでさらなる成長があるのかもしれません。

 次回は生徒会長選挙という予告が出ており、すでに恋ちゃんが生徒会長だという気でいましたが、そういえばまだ決まっていなかったことに気づきました。今回の千砂都ちゃんとの会話では少し砕けた雰囲気を見せていた恋ちゃんでしたが、次回にさらなるキャラクターの掘り下げがあることに期待しながらまた一週間待っていたいと思います。