スーパースター7話の感想文

 ラブライブ!スーパースター‼︎の第7話を視聴しました。前回の話がかなり重たかったので今回は小休止回かと思えば、同等以上の重さが襲いかかってきたので視聴しながら慄いていました。

 生徒会長選挙にメインキャラクターが絡むというのは新設校ならではでおもしろかったですし、すっかりコメディリリーフとして活躍しているすみれちゃんやそれに対する周囲の反応などは非常にほほえましい光景でした。ところが、恋ちゃんが生徒会長に就任した際に公約を違えたところからこれまで明かされることのなかった葉月恋というキャラクターが次第に明るみに出てきました。

 そこで明らかになったのが「両親がおらず、大きな屋敷に使用人1人とペット1匹だけで暮らしている上に、そのメイドの給金を払うことすら厳しい金銭状態で、学校の運営資金も危うい」という情報過多ともいえるほどの設定開示でした。
 事前の書籍情報でも恋ちゃんの設定は少なかったのですが、まさかここまで重い設定をもっているとは思ってもみませんでした。このことを踏まえて生放送などで言っている自己紹介の内容を見返すと、恋ちゃんの言う「義務」という言葉の重さがますます感じられます。
 先述の公約違反をしたシーンでも、唇を噛んで悔しげな様子を見せた後に意を決して言い放った「学園祭を音楽科主体で行う」という宣言の裏側に、学校存続のため音楽科を前に出すことで少しでも新入生を多く獲得しなければならないという断腸の思いでとった行動だったのでしょう。

 そういった裏側を恋ちゃんは全く見せないので、周囲の生徒から反感を買ってしまっているのですが、かのんちゃんだけは恋ちゃんの行動には何か理由があると考えて恋ちゃんを理解しようと寄り添っていきます。特に、アップルティーといちごミルクを持っている次のシーンで恋ちゃんがアップルティーを持っているのが印象に残っていて、かのんちゃんの好物がりんご、恋ちゃんの好物がいちごであることを踏まえると、恋ちゃんがアップルティーを選んだのか、かのんちゃんが渡したのかで見方が変わってくるシーンだと思っています。
 恋ちゃんが選んだのであれば、どれだけ些細な自分の情報でも知られたくないという恋ちゃんが完全に心を閉ざしていることがわかるシーンであり、かのんちゃんが渡したのであれば、自分の好物を渡すことで歩み寄ろうとしているのに恋ちゃんの好物を奪ってしまっている絶妙なすれ違いが起こっているシーンだと思います。

 恋ちゃんが選挙に出馬することを心配する音楽科の生徒が直接応援しにきたり、使用人のことを考えて暇を出そうとしても使用人が頑なに拒んでいるなど、恋ちゃん自身がもっている人望は確かなもので真面目で純粋な女の子なのだと感じますが、それだけに責任感から自分を抑え込んで雁字搦めになってしまっているのでしょう。亡くなった母親のことと同じくらい結ヶ丘のことも大切に思っており、生徒から嫌われたとしても学校を守ろうとする姿勢はとても高校一年生とは思えないほど決意に満ちたものだと思います。
 しかし、恋ちゃんがスクールアイドルだけを目の敵にしている理由は今回で語られることはなく、結ヶ丘女子高等学校という学校の背景にも謎が深まるばかりなので次回の展開にもますます期待がかかっています。

 さて、今回に限らずこれまでのどのキャラクターとの関わりにおいてもそうなのですが、かのんちゃんは行動の裏に隠された感情を読み取ることができる子なのだと思います。それはやはり、本当は自由に歌いたいのに人前では歌えなくなってしまう自分のことがあるからで、自他問わず自分の想いを隠してとった行動に敏感になっているのでしょう。かのんちゃんがセンター投票で圧倒的票数を獲得したり、今回の生徒会長選挙でも多くの生徒から囲まれていたりと、かのんちゃんの人望というのは、「この子は本当の自分を見つけてくれる」という信頼の現れなのかもしれません。
 そんなかのんちゃんだからこそ、誰にも素顔を見せようとしない恋ちゃんに寄り添うことができ、恋ちゃんの心を溶かしていくことができるのかもしれません。次回は「ラブライブ!スーパースター‼︎」という物語が大きく動く回だと思うので、どのような方向へ向かうのか予想すらできないのが何よりも楽しみに感じます。