2ndライブの感想文-かすみんとまゆち-

 気持ちの整理がつき始めたのでポロポロとこぼしていきます。虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会2ndライブのネタバレを多分に含んでおりますので注意していただくようよろしくお願いいたします。

 

 

 

 

 さて、9/12と9/13に虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の2ndライブがありました。二日間にわたって三つの公演を行ったこのライブは、たくさんの「初」が詰まったものとなりました。例えばシリーズ初の「有料無観客ライブ」であり、シリーズ初の「同じ学校に通う十人のスクールアイドルがパフォーマンスをするライブ」。そんな「初」だらけのライブの中で、この楽曲もまた「初」を背負ったものでした。

 「無敵級*ビリーバー」、シリーズ初の「ソロ楽曲にアニメーションPVがつけられた曲」であるのと同時に、虹ヶ咲のキャラクターたちがアニメ作画で動く初めての曲です。そして、この曲を担当しているキャラが中須かすみちゃん。虹ヶ咲における私の推しキャラであり、総選挙でソロ曲を勝ち得た際の喜びは昨日のことのように覚えています。この曲に対する私の一人語りは割愛しますが、かすみちゃんの内面に秘めた想いが随所に綴られ、「かわいさ」という彼女にとって決して譲れないものが歌にもダンスにも現れている素晴らしい楽曲です。2ndライブでは間違いなく披露されるだろうと思っており、私の楽しみの一つでもありました。

 そしていよいよ虹ヶ咲2ndのDay1昼公演。「未来ハーモニー」から始まったライブは、オンラインならではの魅せ方がなされており、画面越しでも十二分な盛り上がりを予感させるものでした。その後のメンバーの挨拶で、中須かすみ役の相良茉優さんが準備のために舞台裏へと移っていったのを見て「これは次にあの曲がくる」と早くも期待を高めて待っていると、聴き慣れたイントロとスクリーンに映し出されるPV映像。期待は興奮に変わり、全てを目に耳に心に焼き付けようと画面に集中しました。CDのジャケット絵と同じ衣装に身を包んだ相良さんがステージ上に立っているのが見えると、興奮は最高潮に達しました。

 いつもと変わらず愛嬌のある笑顔を見せながらパフォーマンスを始める相良さん。ところが、一番のサビ前で相良さんは二番のサビ前での歌詞を歌ってしまいました。歌い始めてすぐに気づかれた様子でしたが、歌詞を取り戻すことは厳しくそのままサビへと突入。この様子を見て、私は大きな心配をしてしまいました。サビ直前、曲の盛り上がりを前にしてこのミスは心に相当なダメージを負わせているはずです。もしかしたらこのまま崩れていってしまうのかもしれない、そんな不安を感じていました。

 しかし、相良さんは笑っていました。それは、とにかく笑顔を作ろうとした結果なのか、自然とそうなったのか、それは私にはわかりません。けれど、少なくとも私には、彼女の笑顔は満面の明るい弾けるような表情に思えました。その表情に安堵するとともに、相良さんの「強さ」を感じました。初めての選挙で勝ち得たソロ曲、初めてのアニメーションPV、これらが背負っていた期待や不安はそのまま相良さんへの重圧にもなっていたのではないでしょうか。さらに2ndライブのソロ曲トップバッター、私には想像もつかないほどのプレッシャーがかかっていたのだと思います。その中でも相良さんは笑顔を絶やさず、精一杯のパフォーマンスをステージ上で魅せ、見事に最後まで歌い切りました。

 その後もライブは進み、ユニット「QU4RTZ」の「Sing&Smile!!」「Beautiful Moonlight」、かすみちゃんの3rdソロ曲である「Margaret」も相良さんは歌い上げMCに入ります。そこで相良さんは「無敵級*ビリーバー」を振り返り、悔しい思いを話されていましたが、クヨクヨとした雰囲気ではなく前向きに出来事を捉えているように感じました。「やっぱりまゆち(相良茉優さんの愛称)は強い人だ」とこの時私は改めて思いました。この後のアンコールで披露されたかすみちゃんの1stソロ曲「ダイアモンド」はワンコーラスだけでしたが、これまでで最高の歌、ダンス、表情で、思わず「かすみん(中須かすみちゃんの愛称)だ……」と口から漏れていました。

 夜公演では目立ったミスもなく、昼公演よりもさらにグレードアップしたパフォーマンスとなっており、わずか数時間でこれほどの改善をされたことに驚きました。特に「無敵級*ビリーバー」では、昼公演でミスした部分を乗り越えた瞬間に画面の前でガッツポーズをしていました。

 Day2は一公演のみで、セットリストもDay1とは大幅に変更されていました。ラブライブ!フェス以来の「ダイアモンド」のフルバージョンで久々のかすみんコールができて、とても爽快感を得られました。現地に行くことは叶いませんでしたが、自宅で画面越しに応援をするというのも意外と悪くないものでした。

 楽しい時間が過ぎ去るのはあっという間で、気づけば最後の曲も終わりメンバーの挨拶となっていました。アニメの放送日や高咲侑ちゃんのキャストの公開、そして3rdライブの開催決定と多くの嬉しい情報や今回の2ndライブについて各メンバーがそれぞれの想いを訥々と語っていく中、相良さんの挨拶の順番となりました。いつも通りかすみちゃんになりきりながら笑顔で挨拶をしていく相良さん。しかし、2ndライブを振り返ったときに彼女の目から涙が溢れます。この時、私は正直驚きました。これまでのライブでは相良さんは涙をこぼすメンバーを助ける役割に回ることが多く、ご本人が涙を流すという場面を見たことがなかったからです。その涙は「かすみんに申し訳ない」という気持ちから溢れ出たものでした。

 ここで中須かすみちゃんについて少し述べさせていただきます。かすみちゃんはスクールアイドルで一番になるために他のメンバーにイタズラを仕掛けている(基本的に失敗する、成功した時は相手に好意的に受け取られてしまう)女の子です。メンバーの挨拶でも「腹黒系スクールアイドル」といじられていたりしますが、彼女は「強さ」をもった女の子でもあります。自分以外の部員がいなくなってしまった同好会をひとりで守り続け、周りの空気が落ち込んでいるときには場を明るくするために振る舞う、そんな「強さ」です。

 私は、このかすみちゃんの「強さ」は相良さんの「強さ」と繋がるのではないかと思います。ミスをしても助けを求めることのできないたったひとりのステージ上で気丈にパフォーマンスをやりきり、メンバーの挨拶ではしんみりとした空気を吹き飛ばす、これは相良さんのもつ「強さ」であり、かすみちゃんのもつ「強さ」と似ているのではないかと思います。これは相良さんが元々もっていたものかもしれませんが、私は相良さんがかすみちゃんに近づこうとする努力の賜物だと感じています。ラブライブ!シリーズは二次元と三次元の融合を強く前に押し出しています。その中にはキャラクターとキャストも含まれていて、虹ヶ咲のメンバーの中でも相良さんは特にこのことを心に留めていらっしゃるように感じています。以前、虹ヶ咲のラジオパーソナリティを決める企画があったときに、他のメンバーがキャストとしてコメントを出している中、相良さんはかすみちゃんの声でかすみちゃんとしてのコメントをしていたことを今でも鮮明に覚えております。もちろん、キャストとしてのコメントをすることが悪いことではなく、むしろ自然なことだと思います。しかし、私は相良さんのその姿に、少しでもかすみちゃんに近づこうとする姿勢に、相良茉優さんが中須かすみちゃん役で本当に良かったと感じました。

 相良さんが涙を流す中、桜坂しずくちゃん役の前田佳織里さんが「まゆちだからかすみんを表現できる」と励ましてらっしゃいましたが、これは本当にその通りだと思います。相良さんのかすみちゃんに対する真摯な姿勢は他のメンバーにも伝わっていて、周りがただ励ますのではなくあえて「かすかす」と呼び続けていたのは、そうすればきっと相良さんが「かすみんです!」と返してくれると信じていたからなのでしょう。この時、相良さんはまだ涙が止まらず、「かすみんだけど……」と返すにとどまっていましたが、Day1のMCで見せた前向きな態度も、もしかしたら「かすみちゃんは失敗してもステージ上で泣いたりしない」という思いで必死に涙を押さえ込んだものだったのかもしれません。しかし、2ndライブの終わりを目前にしてライブを振り返ったときに「中須かすみ役の相良茉優」としての想いが溢れ出て、あの涙はその思いの結晶だったように感じます。

 二次元のキャラクターと三次元の人間が完全な同一人物となることは不可能です。しかし、それでもあの瞬間にステージ上で輝いていた相良茉優さんは、紛れもなく中須かすみちゃんだった、私はそう思います。今回の2ndライブを経て、ますます中須かすみちゃんを、相良茉優さんを応援していきたいと強く感じました。