2ndライブの感想文-栞子ちゃんについてのあれこれ-

 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会2ndライブ及びラブライブ!スクールアイドルフェスティバルALL STARS」(以下スクスタ)のネタバレが多分に含まれています。ご了承ください。また三船栞子というキャラクターを押さえておくために前書きが長くなっておりますので、既に知っているという方は読み飛ばしていただけると幸いです。

 

 

 先日行われた虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会2ndライブですが、このライブではシリーズとして初めての「同じ学校に通う十人目のスクールアイドル」が登場しました。三船栞子ちゃんです。

 彼女はスクスタのメインストーリー8章から、新たな生徒会長に立候補するという形で作品に登場しました。栞子ちゃんは虹ヶ咲学園の一年生で、それまでは優木せつ菜としてスクールアイドル活動を行っている中川菜々ちゃんが生徒会長も兼任していたのですが、その働きぶりが上に立つものとしてふさわしくないとして、栞子ちゃんが再選挙をもって新生徒会長になることを宣言し、生徒会長に就任した暁にはスクールアイドル同好会を廃部にするというところから彼女とスクールアイドル同好会との関係が始まります。
 詳しい過程は省略しますが、栞子ちゃんは人の資質を見抜くことに長けており、その人に最も適した道を示すことで学園の生徒の支持を集めていきました。結果として、再選挙の結果栞子ちゃんが新生徒会長に就任し、中川菜々ちゃんは生徒会長を辞任することとなります。

 彼女が同好会を廃部にするために出した条件をクリアした同好会は学校説明会でライブをする機会を得ますが、ここで栞子ちゃんにとっての試練が訪れます。栞子ちゃんの生徒会活動は人の適性だけを見て、人の興味に目を向けることはありませんでした。そして、そのやり方に明確な不満が現れたのが学校説明会での部活動紹介のミーティングです。彼女のやり方に反発する部が現れ始め、このままでは学校説明会が開催できなくなる、と同好会のメンバーに相談を持ちかけた栞子ちゃんに対して、「ライブができなくなると困る」と同好会が学校説明会の開催に協力することとなりました。

 ここまで、栞子ちゃんは一貫して「スクールアイドルは無駄なもの」「無駄なことに時間を割く意味がわからない」と主張しています。それならばと同好会が提案したのは「スクールアイドル同好会に体験入部してみる」、無駄なことになぜ一生懸命になるのかを知れば何か変わるのではないか、ということでした。
 こうして同好会と関係を深めていく中で、なぜ栞子ちゃんが適正にこだわるのかがわかってきます。彼女は、適性がないまま物事を続け、挫折したり報われないまま終わってしまう人を大勢見てきました。その中には彼女の姉も含まれています。そんな不幸が起こらないように、栞子ちゃんは人の適性に拘泥していたのです。しかし、その考えは同好会の活動を間近で見ているうちに少しずつ変化していきます。スクールアイドル活動は無駄なこと、でもその活動全てが無意味と言い切ることはできない、と。そして、栞子ちゃんは同好会の協力を得ながら、見事に各部活の納得する方針を打ち出し、学校説明会を行うことができました。

 学校説明会でのライブを終えた同好会はいよいよスクールアイドルフェスティバル(全国のスクールアイドルアイドルが集まるイベント、前回までのイベント運営が活動を辞めていたためにμ's、Aqours、虹ヶ咲で運営を行うことになった)に向けて始動していきます。会場を虹ヶ咲学園にするところまでは良かったのですが、そこでボランティアを1000人集めなければならないという大きな課題に直面します。当初は楽天的に捉えていた同好会の面々も、難航していくボランティア集めに様々な衝突、すれ違いを経て一度は開催を諦めるという結論を出してしまいます。(非常に濃密な話となり書ききれないため泣く泣く割愛)
 そんな同好会の様子を最初からずっと見守り続けていた栞子ちゃんですが、とあるメンバーの想いを聞き、大きな一押しをすることで無理だと思われていたスクールアイドルアイドルフェスティバルの開催を実現させます。そして、スクールアイドルアイドルフェスティバル当日、会場の見回りをしていた栞子ちゃんの前に彼女の姉、薫子さんが現れます。この薫子さんがスクールアイドルアイドルフェスティバルの前運営の代表で、栞子ちゃんの価値観に大きな影響を与えた人物でもありました。その薫子さんに、今ではスクールアイドルに魅せられ、応援する者の一人だと告げますが、応援するだけでいいのかと問われます。栞子ちゃんは、他のスクールアイドルと比べて歌やダンスが上手くない、何より「信念」をもっていないといって裏方に徹しようとします。しかし、そんな栞子ちゃんに薫子さんは「スクールアイドルでなければ得られないものがあって、あんたはそれを欲している」と言ってその場を後にしました。
 その後、スクールアイドルフェスティバルのアンコールの場面で栞子ちゃんは姉の言葉、そして同好会の後押しを受けてスクールアイドルとしてステージへ上がる決心をします。適性にこだわり、興味に価値を見出さなかった彼女が、ただ「やってみたい!」という強い気持ちに突き動かされて新たな一歩を踏み出したところで栞子ちゃんのスクールアイドルとしての道が始まりました。かなり雑にまとめているため、より詳しいことは実際にゲーム内で確認していただけると幸いです。

 

 さて、前書きが非常に長くなってしまったのですが、ここから2ndライブの話をしていきたいと思います。

 まず何と言っても栞子ちゃんのソロ曲「決意の光」。栞子ちゃんのもつスクールアイドルに対する不安や葛藤をそのまま歌詞にして、「悩んでいてもいい」というメッセージがこめられた曲となっています。曲調はいわゆる和ロックで、優雅に舞うようなダンスでありながら、時に激しくメリハリのある動きから、栞子ちゃんの内に秘める熱い想いが伝わってくるように感じます。以前の生放送で上原歩夢役の大西亜玖璃さんがこの曲調について「和の部分は栞子ちゃんの要素、ロックの部分は薫子さんの要素を取り入れているように感じる」(要約)と仰っていましたが、それを聞いて思わず膝を打つ思いでした。
 また、この曲にはダンサーの方がふたり付いてパフォーマンスをしているのですが、生徒会の腕章をつけた制服姿でキレキレのダンスを踊るという、かなり目を引く演出となっていました。個人的には、作中では描写されていませんが、同好会と同じように栞子ちゃんの変化をすぐ近くで見ていた生徒会の人たちも、彼女のステージの手助けをしたいと考えて共にステージに上がったのかな、と妄想しています。それにしても虹ヶ咲学園の生徒会はダンスが上手ですね。

 次に「TOKIMEKI Runners」、スクスタストーリー17章を踏襲した、十人で披露された楽曲です。従来のイントロの前に、静かに、しかし何か始まりを予感させるような旋律が加えられています。この楽曲では栞子ちゃんは歩夢ちゃんとセットでパフォーマンスをしている場面が目立ちます。栞子ちゃんにとって歩夢ちゃんは、スクールアイドルになるきっかけを作った一人とも言える存在だと思います。作中で栞子ちゃんは、歩夢ちゃんのひた向きに努力する姿を幾度も間近で見ていました。彼女が無駄と断じていたスクールアイドル活動を意味のあるものへ変化させ、スクールアイドルとしての一歩を踏み出させたのは、歩夢ちゃんの純粋でまっすぐな想いによるものではないかと思います。また、栞子ちゃんと歩夢ちゃんは結構似通っていたりします。両者とも「人のために全力で行動する」ことができる人で、それが「あなた(スクスタの主人公)」なのか「全ての人々」なのかという違いはありますが、彼女たちの行動基盤には常に「人のため」が存在しています。そんな二人による声を揃え、ダンスを揃えてのパフォーマンスは、見ている人全員に届かせるような想いが詰まっていて非常に感動いたしました。ちなみに個人的には間奏で栞子ちゃんがスカートを押さえる仕草をしながら首を傾げるダンスもお気に入りです。ものすごくかわいいので是非。

 次に「Love U my friends」についてですが、正直感情が昂りすぎて記憶が曖昧です。ただとにかくイントロで号泣して、栞子ちゃんがあの衣装を着ているという事実に打ち震えていたことは覚えています。

 最後に「Just Believe!!!」では栞子ちゃんのパートから曲が始まります。「広げた真っ白なページ」という歌詞はスクールアイドルアイドルを始めたての彼女にぴったりであり、正にこの瞬間から新たな物語が書き込まれていくような、そんな歌詞で非常に好きな歌い出しです。
 そして、この曲で最も印象深かった場面が落ちサビで栞子ちゃんとせつ菜ちゃんが一緒に「光の先へアクセル全開」と歌う場面です。この二人といえば生徒会長の座をかけて争い、二人の関係もあって当時の同好会からは栞子ちゃんは明確な「敵」と見られていました。しかし、せつ菜自身は栞子の実力や考えを認め、彼女のことを素直に受け入れています。その後は生徒会活動やスクールアイドル活動を通してせつ菜ちゃんと栞子ちゃんの関係も深まっていきます。元々、栞子ちゃんにはせつ菜ちゃんを生徒会長の仕事から解放するという意図もあったため、せつ菜の能力は評価していました。スクールアイドルアイドルフェスティバルではせつ菜ちゃんと共に会場の見回りをしており、そこではせつ菜ちゃんのことを「優木さん」と呼ぶ一幕が見られたりします。ちなみに、せつ菜ちゃんのストーリーでは「せつ菜さん」と呼んでいるため、正式に同好会に加入してから更に仲が深まったようです。
 また、これは栞子ちゃんの預かり知らないところですが、栞子ちゃんが生徒会長となったことでせつ菜ちゃんは自分の両親に自分の大好きを伝える機会を得ます。そこで歌われたのがせつ菜ちゃんの2ndソロ曲「MELODY」であり、栞子ちゃんはこの曲の完成に間接的に関わっていると言えます。
 そんな二人が共に歌っている場面ですが、ここで三船栞子ちゃん役の小泉萌香さんと優木せつ菜ちゃん役の楠木ともりさんは、お互いに体を寄せ合いながら満面の笑顔で歌っていました。楽しそうに、それでいて力強い歌声は、戦友とも呼べるような二人の関係性が如実に現れているところだと思います。 

 総じて、三船栞子ちゃんと小泉萌香さんは初ステージとは思えないほどに虹ヶ咲に溶け込み、十人のグループというラブライブ!の新しい形を、予想を遥かに超える感動で届けてくれました。すでにストーリーでは初めてファミレスに行ったり、噛まずに台本を読めたことに喜んだりとこれまでの栞子ちゃんとはまた違った、高校一年生らしいかわいらしさを見せてくれているので、今後の展開も非常に楽しみにしています。