アニメ虹ヶ咲2期の感想文 重なる声、重なる想い

 アニメ「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」2期の第3話を視聴しました。前回に引き続いてQU4RTZの4人に焦点が当てられた話で、ソロアイドル達がユニットを組むというのがどういうことなのかを示す話でもあったと思います。

 それぞれのメンバーがそれぞれの持ち味を生かして活動しているのがスクールアイドル同好会の特長であり、ユニットを組むにあたって一つの方向にまとまることに課題があることが描かれていました。ここで誰かが折れて誰かの世界観に合わせようとしないのは、1期を経た成長が見えた部分であり、自分の意見を言い合うことを恐れず信頼し合えているメンバーの関係も見えてくるところだと感じました。
 特にQU4RTZの4人は周囲の状況を見ることに長けているメンバーが集まっているユニットであり、お泊まり会でも自分のこと以上に他のメンバーの良さに気づいていくところが描かれていました。だからこそ、QU4RTZの楽曲では自分の声を表現しつつ4人の声を重ね合わせた美しいハーモニーを響かせることができているのだと感じました。

 そして、アニメでは同好会のスクールアイドルだけでなく侑ちゃんについても描かれています。夢を見て夢に向かって進んでいくにつれて「自分らしさ」とはなんなのか、自分は何をすればいいのかを考える場面が増えてきました。スクールアイドル同好会で活動する中で自らの特色を理解してそれを表現するスクールアイドルを間近で見てきた1期を経たことで、他者と自分を比べて焦りや不安を感じているのはアニメの中でありながら等身大の高校生として描かれています。
 ミアちゃんの「求められるものを作る」という考えに対して、同好会の「自分のやりたいように作る」という考えは対極にあるようですが、実際はどちらも欠かすことのできない要素だと思います。誰かが歌うために作曲する以上はその曲を歌手の求める曲を作る必要があるのはもちろん、その曲を作るのは作曲者であり作曲者本人の良さが入っていることで他の誰かが作ることのできないその人だけの曲が生まれるのではないでしょうか。これはスクールアイドルの見せる自己表現と同じだと思いました。

 また、今回のランジュちゃんからはスクスタとは違ったキャラクター性が現れていました。栞子ちゃんと話している場面での表情がとても楽しそうで、自分のライブに栞子ちゃんを誘うときには今までにないほど柔らかな顔をしていました。この場面から、アニメのランジュちゃんはスクスタほどの博愛性を見せず、幼い頃から関わりのある栞子ちゃんを特別視しているように感じました。スクスタにおいてもランジュちゃんは栞子ちゃんのことを「親友」と呼んでおり「友だち」とは一線を画す存在として見ている描写はありますが、アニメではそれがより顕著に描かれているのだと思います。
 栞子ちゃんの方からランジュちゃんを特別な友だちとして見ている描写はまだ見えていないので、この二人の関係がどのように進んでいくのかも今期の大きな見どころの一つではないでしょうか。

 1期ではソロとして個人の活動だけをしてきた同好会のメンバーが、2期ではユニットとして活動することでそれまで見えていなかった自分に気づいていきます。侑ちゃんを含めた同好会の10人が他の9人、栞子ちゃんランジュちゃんミアちゃんの3人、そしてファンの人たちとの関わりを経て、どんな自分を発見していくのかとても楽しみです。