スーパースター!!2期の感想文 近くて遠い存在

 アニメ「ラブライブ!スーパースター‼︎」の2期5話を視聴しました。夏美ちゃん回前編といった感じでしたが、「2年生との実力差を感じる1年生」というテーマも見逃せない回だったと思います。

 夏美ちゃんの行動に振り回されるLiella!たちが描かれていた今回ですが、1年生にとっては2年生も自分たちと同じ普通の高校生なのに、スクールアイドル活動のことになるとたった1年違うだけで体力面でも技術面でも大きな差を感じてしまう場面が多々見られました。グループ内で実力差があると全体のパフォーマンスにムラが出てしまいますし、何よりも自分たちが先輩の足を引っ張っているという気持ちが強まってしまうのでしょう。
 そんな彼女たちは、夏休みの間だけ先輩から離れて自己研鑽に励むことにしました。実際は夏美ちゃんが2年生(というよりすみれちゃん)から1年生を引きはがすための入れ知恵だったのですが、どうしても2年生と自分たちを比べてしまい、自分たちの良さを出し切れていない1年生たちにとってはちょうどいい機会だったに違いありません。今後、どのように1年生たちが成長し、スクールアイドル自体に興味をもっていない夏美ちゃんがLiella!に加入していくのかとても楽しみです。

 ところで、作中では夏美ちゃんの「スクールアイドル活動を動画化して広告収入を得ること」が悪事として描かれていました。確かに、活動の主体であるLiella!に一銭も入らないのは良くないことですが、行動自体は悪いことではないと思います。
 作中世界のスクールアイドル活動は衣装やステージなど非常に凝っており、高校生の経済力ではとても賄いきれないほどの資金が必要になるように思います。そこで、自分たちの活動を動画にして、そこで得た収入を活動資金にしているスクールアイドルがいてもおかしくないのではないでしょうか。ほぼ無名と言える夏美ちゃんのチャンネルで公開したLiella!の動画が高い再生数を叩き出していることから、Liella!が人気のグループであることを差し引いても、定期的に活動を動画で公開していればそれなりの資金を得られるでしょう。もしかすると、そういった動画活動をメインとしたスクールアイドルもいるかもしれない、というような作品世界の広がりも感じられました。

スーパースター!!2期の感想文 背中合わせに向き合って

 アニメ「ラブライブ!スーパースター‼︎」2期の4話を視聴しました。四季ちゃんとメイちゃんの関係性が描かれ、互いに不器用な気遣いを見せるシーンが心を打つ回でした。

 アニメ放送前から、メイちゃんは自分の目つきが悪いことを気にしている設定があります。今話で視力が悪いから目を凝らして物を見る姿が周囲から「目つきが悪い」と取られていたことがわかりました。確かに、教室などで見せる表情と屋上で四季ちゃんを睨んだ表情が全く違い、物や人にかなり接近している場面も多かったので、言われてみると非常に納得しました。眼鏡をかけない理由は運動が得意なメイちゃんにとって、動きによってずれていく眼鏡がわずらわしいと感じているからでしょうか。
 また、1話でも片鱗は見せていましたが、四季ちゃんが割と運動もできるというのは意外でした。四季ちゃんのような理知的な印象のキャラは運動ができないものだと思っていましたが、運動が得意なメイちゃんと関わっていく中で自然と運動できるようになっていったのではないかと思います。

 メイちゃんがスクールアイドル部に入ろうとしなかったのは、上述したような見た目の理由もあるのでしょうが、四季ちゃんを一人にさせたくないからという理由でした。
 かのんちゃんが言っていたように、二人の性格は似ていないようでそっくりです。自分の好きなものに対して全力で、あまり人付き合いが得意でなく、他人に対しては「自分に正直になれ」と言うけれど自分は正直になれないところなど、挙げていくときりがないほどに共通点があります。
 人と積極的に関わろうとはしないものの、孤独ではありたくないのも同じで、だからこそ互いをひとりにさせたくない想いも同じなのだと思います。そんな彼女たちが、自分たちだけの空間である科学室で作中初めて見せるような素の表情を見せて、少しだけ素直になることを決意したことは二人にとって大きな変化の一歩に違いありません。

 共に居ながらバラバラだった二人が、これまでと違ってお互いに同じ道を歩んでいく二人三脚は、まだぎこちなさを残しつつも迷わず素直に突き進んでいくのでしょう。今後、二人が他のLiella!のメンバーと関わっていく中でどのような化学反応を見せていくのかとても楽しみです。

 

 余談ですが、メイちゃんが言っていた「ライブを観ている自分の顔は世界一見られたくない」という言葉に、頻繁にライブに行く私は大きく共感しました。実際、ライブ中の自分の顔を見たことはないのですが、人に見せられる顔ではないことは間違いないと思います。

 

スーパースター!!2期の感想文 乗り越えるために

 「ラブライブ!スーパースター‼︎」の2期3話を視聴しました。前回からきな子ちゃんが正式加入し、昨年度はかのんちゃんと可可ちゃんが参加した代々木フェスに挑む話でした。前回の最後に現れた謎の少女が、Liella!の新たなライバルとして立ちはだかってきたことも印象的です。

 フェスの結果としては昨年度と同じ特別賞となり、周囲に期待されている中でまたも優勝することができなかったことを気に病むかのんちゃん。自信を無くしてしまったかのんちゃんを励ましたのが結ヶ丘の生徒であり、Liella!が学校にもたらした実績です。作中でかのんちゃんや恋ちゃんが言っている通り優勝や1位といった結果こそありませんが、彼女たちが成したことはすべて学校の歴史に刻まれており、決して無駄な活動ではなかったことが形として表された場面でした。
 「学校のために」という信念をもってスクールアイドル活動をしているかのんちゃんにとって、このエールはなによりも勇気づけられるものだったと思います。また、スクールアイドルという存在が、学校を救う側に立っているだけでなく学校に救われる側でもあるというのが伝わってくる非常に重要な場面でした。

 そして、代々木フェスにおいてLiella!の優勝を阻んだ人物こそがウィーン・マルガレーテです。サニパがA-RISEのような「目標」という意味でのライバルであるとするなら、彼女はSaint Snowのような「強敵」といった意味のライバルといえるのではないでしょうか。たったひとりで観客だけでなく舞台裏で見ていたLiella!の面々も圧倒するパフォーマンスは、Saint Snowの初登場時を思い出させるものでした。彼女がなぜスクールアイドルをやっているのかは謎ですが、現時点ではただ歌って踊りたいというより何か大きな目的があって、その手段のためにスクールアイドルをやっているように感じました。

 また、今話では今後の展開に繋がる要素が多数出てきました。
 中でも、「ラブライブ!の歴史上連覇を成し遂げたグループは存在しない」ことと「ウィーンが中学生である」ことは今後の話に深く関わってきそうです。私としては今年サニパに勝って本選出場を果たしそのまま優勝、次年度に高校生となったウィーンと本選で戦って史上初の連覇を達成するというストーリーならかなり熱い展開だと思っているのですがどうでしょうか。

 次回はいよいよきな子ちゃん以外の新メンバーとLiella!が関わってくる回です。Liella!に興味津々だけど素直になれないメイちゃんと、メイちゃんのために影からLiella!に関わっている四季ちゃんの動向に期待が高まります。

 

スーパースター!!2期の感想文 あきらめたくないキモチ

 アニメ「ラブライブ!スーパースター‼︎」2期2話を視聴しました。いよいよ新一年生であるきな子ちゃんが加入しましたが、そのまま順調とはいかず厳しい現実に直面する話となっていました。

 新一年生の勧誘が難航し、きな子ちゃんも練習についていくのが精一杯という状況で、ラブライブ優勝から出場に目標を下方修正し練習メニューも大幅に減らす決断をしたLiella!でしたが、これは二年生はもちろんきな子ちゃんにとっても本意ではなかったと思います。「足を引っ張りたくない」と言い、自分の姿を見た人たちに「スクールアイドル活動はやっぱり大変なんだ」という印象を抱かせてしまったことに負い目を感じていた矢先に先輩たちに気を遣わせてしまったような形になったので、きな子ちゃんとしてもつらかったに違いありません。

 そんなきな子ちゃんの背中を押したのがメイちゃんでした。彼女の言葉は、厳しく苦しい道だとわかったうえでスクールアイドルの道へ足を踏み入れたきな子ちゃんへの激励であり、自分にできないことをしているきな子ちゃんへの尊敬の気持ちもあったように感じました。今はまだきな子ちゃん以外のメンバー加入の兆しは見えていないものの、少しずつ一年生同士の結びつきも生まれています。

 そしてきな子ちゃんが自分の想いを先輩たちに打ち明け、彼女たちの作る星の輪の中に自分から入っていったことで、本当にきな子ちゃんがLiella!の一員になったのだと感動しました。

 ところで、まだLiella!がLiella!として活動する前にかのんちゃんがしきりに口に出していた「あきらめないキモチ」というフレーズがあります。このフレーズはLiella!を象徴するものであり、メンバーそれぞれが「あきらめないキモチ」を抱いて活動しています。
 しかし、今話では新入生の勧誘のためにラブライブ優勝という目標を掲げることをあきらめかけていました。そんな中で、「あきらめないキモチ」を取り戻させたのが、厳しい練習や周囲の視線がある中であっても憧れの先輩たちのようになりたいというキモチをあきらめなかったきな子ちゃんだったことは、シリーズで初めて進級という形式を取り入れた今作において、かつて抱いていた志を後輩が思い出させてくれるという学園物の王道展開となっていてとても心揺さぶられました。

 最後には謎の少女がかのんちゃんの名前をつぶやく場面があり、どんどんと新しい展開を見せていくスーパースター‼の今後がますます楽しみです。

スーパースター!!2期の感想文 変わりゆくセカイ

 アニメ「ラブライブ!スーパースター‼︎」の2期1話を視聴しました。メインキャラクターが進級するというこれまでのシリーズにはない特徴をもつ今作ですが、1話から在校生はもちろん新入生である新メンバーの個性もあふれる話となっています。

 やはり今期の見どころはこれまでになかった変化を見ることだと思っています。新入生が入ってくることに浮き足立ったり、「先輩」と呼ばれることを嬉しがったりといった点はこれまでのシリーズにはなく、先輩と後輩という関係が物語にどのように影響してくるのか期待が高まっています。
 人物の変化だけでなく、学校の変化も重要な要素です。スクールアイドルという存在にとって「学校」は非常に重要な場所ですし、結ヶ丘女子高等学校は新設校ということもあり、メンバーとともに学校の歴史も刻まれていくことは今作の大きな魅力の一つだと思います。

 今話で特に印象深かったところは「新入生がなぜスクールアイドル部に入部しようとしないのか」という場面でした。現実世界でもそうだと思いますが、実績を残した部活に対しての憧れはあるが入部するとなると練習がハードでついていけなくなる、という理由は非常に現実味の理由であると感じました。
 それに対して、「5人で活動を続ける」という選択肢を出した千砂都ちゃんに「自己満足になるのではないか」と返したすみれちゃんの言葉が印象的です。優勝を目指すのであれば無理に新入生を巻き込むより今のメンバーだけで活動する方が理に適っていますが、「スクールアイドルはそういうものじゃない」とスクールアイドルを始めたことで初めてステージの真ん中に立つことができたすみれちゃんが答えたことには、ただ勝つだけでは意味がないという想いが感じ取れます。

 だからこそ、最初に関わる新入生がきな子ちゃんであることが大事なのだと思いました。彼女はLiella!のことはもちろんスクールアイドルのことも知らない少女です。初めて見る輝きに魅せられ、それに惹かれていく少女が新たな世界へ足を踏み出すというのはラブライブ!というシリーズの始まりであり、新しいLiella!の始まりにもふさわしいものであると思います。きな子ちゃんが見ていた映像が「Starlight Prologue」であるのも、きな子ちゃんの新たな始まりを予感させるものとなっています。

 ところで、きな子ちゃんとかのんちゃんとの関わりにどことなくサンシャイン!!の1期1話を感じました。梨子ちゃんは都会から田舎の学校へ、きな子ちゃんは田舎から都会の学校へという点においては対称的ですが、有名であるはずのスクールアイドルという存在を知らず、知らないからこそ純粋にそれに惹かれていくという点はとても似通っているように思いました。

 まだ新たな物語は始まったばかりですが、希望に満ち溢れた始まりとなっており、今後2年生となったメンバーと1年生がどのように関わっていくのかが非常に楽しみになる1話でした。

約束は海風と共に

 Aqours 6th LoveLive!の追加公演であるWINDY STAGEに参加しました。

 「約束の地」とも銘打たれていた東京ドームは、そこに集ったすべての人々にとっての文字通り夢の場所だったと思います。思い出深い4thライブで訪れたことのある場所でもあり、参加できることが決定した日からこの日を心待ちにしていました。この感動を忘れぬよう、噛み締めるように文章として残しておきたいと思います。

 まさか一曲目からこのライブのテーマソングである『なんどだって約束!』が披露されるとは思っていませんでしたし、落ちサビ部分でスクリーンに映し出された4thライブの映像を見た時、あの時の記憶が蘇ってきて思わず涙が溢れてきました。
 間髪入れずに披露された『未体験HORIZON』はフェス以来のパフォーマンスであり、4thライブで「花丸ちゃんのセンター曲をこの場所で歌う」と言っていた高槻かなこさんの約束を見事に果たす一曲でした。
 この2曲は浦の星交響楽団による壮大な音楽を受けたAqoursが、4thの頃から今までの長い時間と経験を積んで成長した姿を見せてくれ、その輝きは何よりも眩しいものでした。

 全ての曲が印象的であったことは間違いありません。各メンバーのソロ曲(特に善子ちゃんのソロは未公開だったこともあり衝撃的でした)はもちろん、『Next SPARKLING!!』や『キセキヒカル』はもう聴けないと思っていた曲だったのでイントロから感動し続けていました。
 その中で、個人的に強く印象に残っているのが『Deep Resonance』です。先述した高槻さんと同じように小林愛香さんも約束をしていらっしゃいました。4thシングルのセンター投票では惜しくも2位となってしまったのですが、「Shadowverse」とのコラボ楽曲として制作されたこの楽曲のセンター投票では善子ちゃんが見事に一位を勝ち取り、彼女もまたこの地で約束を果たしてくれました。オーケストラによる重厚な音楽と東京ドームという国内最大級の会場の広さをものともしない小林さんの最後のシャウトが会場全体に響き渡った時には、体だけでなく魂までも震わされるような感覚となりました。

 楽しい時間はあっという間に過ぎ去ってしまい、『SUKI for you,DREAM for you!』が終わってAqoursがステージから去ります。しかし、会場は暗いままで、あの時のあの瞬間を再び待ち望むかのような会場の手拍子が鳴り続けています。それにAqoursは見事に応えてくれました。視線を会場全体に這わせてみると、浦の星交響楽団の面々も次々と会場に戻ってきているのが見えました。
 そしてAqoursから届けられた本当に最後の曲は『なんどだって約束!』。正直この曲の間はずっと泣いていたので鮮明な記憶はないのですが、

 幾度となくライブの中止が行われながらも「次もきっと」と渡辺曜斉藤朱夏

 マスクで顔が見えづらくなっていても「笑顔で」と国木田花丸高槻かなこ

 今もなお声が出せない状況が続く中で「あいさつしよう」と津島善子小林愛香

 こちらの気持ちを代弁するかのように「いつ?」と黒澤ダイヤと小宮有紗

 そんな心配を吹き飛ばすかのように「すぐ!」と松浦果南諏訪ななか

 再会を待ちきれない勢いのままに「すぐだよ!!」と黒澤ルビィと降幡愛が

 たとえ言葉を発することはできなくとも「伝わってる」と桜内梨子逢田梨香子

 様々な不安はあるかもしれないけれど「大丈夫」と小原鞠莉鈴木愛奈

 まっすぐに前と未来だけを見据えながら「だから」と高海千歌伊波杏樹

 最高の笑顔で「みんなと一緒に約束しよう!」とAqoursが叫んでくれたことに、私は言い表せないほどの感動を受け、言い尽くせないほどの感謝をしました。

 「幻日のヨハネ」アニメ化やEXTRA LIVEの開催が決定し、これからもまだまだ走り続けていくAqoursのことをいつまでも追っていきたいという気持ちを再び固めることができた、至高のライブだったと心からそう思います。

アニメ虹ヶ咲2期の感想文 伸ばした手が掴んだもの

 アニメ「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」の2期9話を視聴しました。これまで作曲家としての立場でいたミアちゃんがスクールアイドルになる話でしたが、ランジュちゃんが同好会に加入する話でもあり、一つの山場を迎えた回だったと思います。

 ミアちゃんが自分で歌わず作曲だけをしている経緯についてはスクスタでの設定と概ね同じでしたが、ミアちゃん自身が同好会に対して最初からかなり好意的であったり(これはミアちゃんだけに限らず栞子ちゃんもでした、反対にランジュちゃんは敵対的な態度をとっていたのが対照的です)、ランジュちゃんを日本に引き留めるためにソロで歌ったりとアニメ独自の展開もなされていました。

 さて、スクスタでミアちゃんの心境に大きな変化をもたらしたのは璃奈ちゃんです。それはアニメでも変わりはありませんでしたが、なぜ璃奈ちゃんとミアちゃんが心を通わせることができたのかを細かく描くことはなく、これまでのアニメの中ではんぺんとの関わりや部屋を訪ねた璃奈ちゃんのことを「璃奈」と呼んでいることなどから、話の裏側である程度親しい関係を築けていたのだと感じさせる描写があったように思いました。

 ミアちゃんもランジュちゃんも、それぞれの活動の根幹にあるのは「他人に自分を認めさせたい」というものです。私は、ふたりともそれを孤独な挑戦のように捉えているように感じました。自分の価値を証明するためには自分一人の力で偉業を成さなければならない、というような考えに囚われて周りを見ることができなくなってしまい、どんどん孤立していってしまったのがあの二人だったのだと思います。
 しかし、ミアちゃんは璃奈ちゃんの差し伸べた手を掴み、そのまま空高くへと伸ばした手でさらに何かを掴みました。それはきっと「仲間」というかけがえのない存在であり、どれだけ手を伸ばしても届かなかった空へかかる虹となったことを表しているように感じました。ランジュちゃんと近い境遇にあった彼女が初めて得た仲間と力を合わせて作ったからこそ、彼女の歌にランジュちゃんを日本に留めさせるだけの力が宿ったのだと思います。

 いよいよスクールアイドル12人が同好会に集まり、残すは侑ちゃんの物語がどのような描かれ方をするのか、というところだと思います。これから残り4話の展開にますます注目していきたいと思います。