アニメ虹ヶ咲2期の感想文 伸ばした手が掴んだもの

 アニメ「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」の2期9話を視聴しました。これまで作曲家としての立場でいたミアちゃんがスクールアイドルになる話でしたが、ランジュちゃんが同好会に加入する話でもあり、一つの山場を迎えた回だったと思います。

 ミアちゃんが自分で歌わず作曲だけをしている経緯についてはスクスタでの設定と概ね同じでしたが、ミアちゃん自身が同好会に対して最初からかなり好意的であったり(これはミアちゃんだけに限らず栞子ちゃんもでした、反対にランジュちゃんは敵対的な態度をとっていたのが対照的です)、ランジュちゃんを日本に引き留めるためにソロで歌ったりとアニメ独自の展開もなされていました。

 さて、スクスタでミアちゃんの心境に大きな変化をもたらしたのは璃奈ちゃんです。それはアニメでも変わりはありませんでしたが、なぜ璃奈ちゃんとミアちゃんが心を通わせることができたのかを細かく描くことはなく、これまでのアニメの中ではんぺんとの関わりや部屋を訪ねた璃奈ちゃんのことを「璃奈」と呼んでいることなどから、話の裏側である程度親しい関係を築けていたのだと感じさせる描写があったように思いました。

 ミアちゃんもランジュちゃんも、それぞれの活動の根幹にあるのは「他人に自分を認めさせたい」というものです。私は、ふたりともそれを孤独な挑戦のように捉えているように感じました。自分の価値を証明するためには自分一人の力で偉業を成さなければならない、というような考えに囚われて周りを見ることができなくなってしまい、どんどん孤立していってしまったのがあの二人だったのだと思います。
 しかし、ミアちゃんは璃奈ちゃんの差し伸べた手を掴み、そのまま空高くへと伸ばした手でさらに何かを掴みました。それはきっと「仲間」というかけがえのない存在であり、どれだけ手を伸ばしても届かなかった空へかかる虹となったことを表しているように感じました。ランジュちゃんと近い境遇にあった彼女が初めて得た仲間と力を合わせて作ったからこそ、彼女の歌にランジュちゃんを日本に留めさせるだけの力が宿ったのだと思います。

 いよいよスクールアイドル12人が同好会に集まり、残すは侑ちゃんの物語がどのような描かれ方をするのか、というところだと思います。これから残り4話の展開にますます注目していきたいと思います。