大西亜玖璃さんから手を差し伸べられました

 十月某日、幕張メッセにて。

 A•ZU•NAのライブ&ファンミーティングに参加してきました。ファンミーティングパートではキャスト同士のやりとりに終始ニコニコしていたり、ライブパートでは様々な曲調の楽曲から七変化ユニットたるA•ZU•NAらしさを存分に感じとったりしていました。そして何より、座席がスタンド最前列ということもあり、トロッコに乗って会場を回るキャストとの距離が非常に近かったことが大変嬉しかったです。

 そして、ライブも最終盤、「全速ドリーマー」で今後一生忘れることのない出来事が起きます。私は基本的にライブ中よく手を斜め上方に突き出すような応援スタイルをとっているのですが、その時はトロッコにキャストが乗っていたこともあり、せっかくなので上ではなくキャストの方に手を突き出してみようと思いました。
 そうしていると、段々とトロッコに乗った大西亜玖璃さんが間近に近づいてきます。そして、本当に自分の目の前に差し掛かるという段階で、大西さんがこちらへと振り向きました。
 こちらを見た大西さんは、サッと、私の方へと腕を伸ばしていました。最初は曲のフリとこちらのタイミングが偶然一致しただけだと思っていましたが、大西さんの吸い込まれるような瞳が私をまっすぐに見つめていました。
 それを自覚した瞬間、私の中で全ての時が止まりました。そして、その停止した時の中でじわじわと実感が湧いてきます。「あれ、もしかして俺に手を伸ばしてくれている……?」と。もう、私はその瞳から目を離せなくなりました。衣装が「Say Good-Bye 涙」であり、表情もキリッとした凛々しい表情だったため、普段のかわいらしい印象とは大きく異なる、正しく「Say Good-Bye 涙」を歌う歩夢ちゃんのイメージそのものの大西さんがそこにいました。後に連番者に確認したところ、実際この場面は一瞬だったそうなのですが、少なくとも私にとってのそれは永遠とも言える一瞬でした。

 ライブが終了して今に至っても、あの瞬間が脳に焼き付いて離れません。もちろん、数あるファンサービスの中で、たまたま偶然自分にそれが向けられたのだということはわかっていますが、それでも向けられた側からすればこの上なく特別なものとなりました。おそらく、これから「全速ドリーマー」を聞くたびにあの瞬間がフラッシュバックしてきそうなので、まともな精神状態で曲を聞くことはできなくなるでしょう。キャストからのファンサービスがこんなにも魂を揺さぶってくるものだった、という至上の体験を与えていただいた大西亜玖璃さんにただただ感謝しております。