アニメ虹ヶ咲2期の感想文 ランジュ流の自己紹介

 『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』のアニメ2期1話を視聴しました。1期からの流れそのままに繋がった2期でしたが、栞子ちゃんミアちゃんランジュちゃんが加わって展開されることでさらに物語が広がっていくことを感じさせる始まりだったと感じました。

 なんと言っても最大の見せ場はランジュちゃんのライブシーンでしょう。実力や価値観については言葉ではなく、自身のパフォーマンスで示すあたりが非常にランジュちゃんらしいと思いました。堂々とした名乗りから、初対面の人たちであっても釘付けにさせる圧倒的なパフォーマンスを披露したあのライブシーンは、学校説明会に来た人たちと同じようにランジュちゃんのことを全く知らない視聴者にも彼女の在り方が言葉で語る以上に鮮明に伝わってきたと思いました。

 そんなランジュちゃんのソロ曲「Eutopia」ですが、1期で披露された数々の楽曲によって2期の楽曲に対する期待が高まる中で、その期待を上回ってくるような素晴らしい曲でした。
 「Eutopia」といえば「理想郷」と呼ばれるものですが、元々の意味としての「理想郷」とは、格差がない代わりに人々の個性を否定し支配者によって完全に管理されているものであったり、「どこにもない場所」というものを指す言葉だそうです。それを踏まえた上でこのタイトルが示しているのは、「アイドルは与えるものであって与えられるものではない」というランジュちゃんの価値観と、その上でランジュちゃん自身が心のどこかで「私の理想の場所なんてない」と感じていることを表しているように感じました。

 また、ライブシーンに頻出している空っぽの鳥籠ですが、これはペットを飼うのを楽しみにしている子どもが先にケージだけを買い揃えてペットが来るのを心待ちにしているのと同じようなものではないかと感じました。
 アニメとは設定に差異があるかもしれませんが、スクスタのランジュちゃんをベースに考えると、結局彼女は友だちがほしいだけの普通の女の子です。彼女のもつ圧倒的な能力に周囲がついてこれなくなることで孤独を感じていながら、それでも周囲を拒むことなくむしろ積極的過ぎるほどに関わり合おうとする彼女は、ずっと新しい鳥籠を用意しながらその中に入ってきてくれる鳥を待っているのかもしれません。友だちが離れていってしまう辛さを幾度も味わっているからこそ、「自分の側から離れないでほしい」という強い想いが鳥籠という不自由な形で表現されているようにも感じました。

 ストーリーの内容としても、1話の時点で明確にランジュちゃんが侑ちゃんに同好会に所属することの意味を尋ねていたことも個人的に好印象でした。ただ単にスクールアイドルをやりたいわけではないのに所属していることに疑問を投げかけるのではなく、スクールアイドルからもらった夢に真剣になるのであれば同好会を離れて活動した方がいい、という納得できる理由を添えていたのがスクスタで同じ問いを投げかけた時にない点だったと思いました。

 圧倒的な能力をもつランジュと多彩な個性をもつ同好会の面々とのぶつかり合いという、スクスタと似ているようで少し違う雰囲気を感じさせる始まりにまた新鮮な気持ちで虹ヶ咲という作品に向き合っていけることを楽しみに思いながら次回を待っていようと思います。